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遺言に関する質問

 


  ここでは、家族に関するよくある質問で、基本的なことを説明します。


 

遺言の質問





                                                           遺言執行者は必要なんですか?

  私は妻と二人暮らしで子供がいないので、妻が1人になったときのために遺言を作りました。しかし、私の兄弟もいるので親族が口をはさみ、遺言書通りに遺産分割がされないのでは、と心配です。妻のために、何か方法はありますか。


 遺言で注意しなければならないのは、遺言執行者がいない場合は、相続人が相談して遺言の内容と違う遺産分割ができる可能性があるということです。相続人である親族が、奥さんに圧力をかけてやり直しを迫ることもありえます。
(気の弱い奥さんが圧力に負けて、兄弟の作成した遺産分割協議書に実印を押してしまえば、形式的に遺言を相続人全員が見た上で異なる分割協議に全員で合意したことになります)
  ですから、遺言を作成したから、全て安心とはなりません。

  民法は、「遺言者は、遺言で、1人または数人の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができる」(1006条)としていますから、遺言執行者をおくことは義務ではないし、実際に指定していない遺言も多いのです。

  遺言執行者をおくメリットは、遺言通りの遺産分割を行うことができること、その執行者の相続財産の処分などの業務遂行に対して相続人が 妨害できないので、遺産分割がスムーズに実行されること、また遺言作成者名義の凍結された預金口座も相続人全員の印鑑が必要ではなく、遺言執行者の印鑑で凍結を解除できることなどがあります。

  遺言執行者を検討した場合に、注意しなければならないこと

①  遺言で遺言執行者を指名しても、その指名された人は、就職するか辞退するかは自由ですから、了解なしに勝手に決めるのはリスクがあります。

②  未成年者と破産者は、遺言執行者にはなれません。
平成11年の改正で、成年被後見人と被保佐人が欠格事由から削除されたので執行者になることができますが、当然意思能力がなければその遺言の執行行為は無効となるし、被保佐人の執行行為が訴訟行為を伴う場合は取消の対象となるので、できれば避けるべきでしょう。
   なお、信託銀行などの法人も、遺言執行者になることができます。

③  ②のように、未成年者・破産者以外は誰でもなれるわけですから、親族やその他の利害関係者も遺言執行者になれますが、わざわざトラブルの元になるようなことはしないほうがいいでしょう。

④  遺言執行者に対して多額の報酬を支払う場合がほとんどです。
遺言で、遺言執行者を無報酬と定めることもできますが、業務の大変さを考えれば、指定された人は無報酬であれば断るでしょう。
  信託銀行であれば、遺言保管料の他に、最低報酬額は100万円以上かかります。

⑤  いくら専門知識があり信頼できる人でも、高齢で病弱のため遺言作成者より早く亡くなる可能性が高い人は、亡くなった時に改めて、家庭裁判所に選任の請求をする必要がでてくるので、面倒なことになります。

    結局、遺言執行者に適任なのは、高齢でない相続手続きの実務に詳しい弁護士・行政書士・司法書士または信託銀行になるかと思います。



公正証書遺言の証人はどうやって選べばいいんですか?

  私も年をとってきて、家族のために遺言を作ろうと考えています。公正証書遺言が紛失や書換えのおそれがないことはわかったのですが、公証役場へ行ったり、証人2名が必要だということで、何となく気が重くなります。特に、証人は誰になってもらえば一番いいのかよくわかりません。
  私には妻と子と私の兄弟がおり、子には配偶者がいます。


  遺言は、紛失や書き換えのおそれのない公正証書遺言がいいとよく言われますが、いざ本気で遺言を検討したときに、公証役場へ行ったり、報酬を払ったり、証人2名が必要だったり、いろいろ面倒ではないかと心配になります。

  結論から言えば、守秘義務のある専門家である弁護士や行政書士などに、最初の段階から相談や依頼をすれば、遺言内容のチェック、公証人との調整、公証役場への同行、そして証人にもなってくれますから、全てが解決します。

  (1)  念のため、民法974条にある「証人および立会人の欠格事由」で、証人として不適格と      なる人を見てみましょう。


  ①  未成年者

    ・未成年者は、法定代理人の同意があっても、証人・立会人になることはできません。

  ②  推定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族

    ・推定相続人とは、その遺言者が死亡したときに、相続人となる予定の人です
    ・受遺者とは、その遺言によって財産をもらう人です
    ・直系血族とは、子・孫・父母・祖父母などです
                                        ↓
      質問のケースですと、遺言者の兄弟は遺言作成時に第一順位の相続人でなければ証人・立       会人になることはできますが、子の配偶者は、推定相続人の配偶者なので証人・立会人に       なれません。

  ③  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

    ・公証人の関係者のことですが、ここでいう公証人はあくまでその遺言の作成にかかわる公        証人です。

   (2)  また、民法で規定されていない人でも、事実上の欠格者として、証人に適さない人がい    ます。


  ①  署名することができない者

    ・証人は遺言に署名することが必要だからです。

  ②  遺言者の口授(公証人への読み聞かせ)を理解できない者

  ③  法定代理人(親権者・成年後見人)・保佐人

    ・これは、欠格者となるかどうかは争いがあるので、避けた方が無難です。

  (3)  その他

  ① 推定相続人以外で利害関係がない親族であっても、親族間で信用がない人は避けるべき         でしょう。

  ② 親族・友人・知人に限らず、口が軽く秘密をしゃべる人


  *  なお、遺言執行者は、判例は、利害関係を有する者でなければ、証人となることができ         る、としています。


3  身寄りのない人が死亡した場合、財産はどうなるんですか?

   私は夫が死亡後、体が不自由となり子供もいないので、土地・家屋を売却して、介護付老人ホームに入居しています。預貯金もあり今は何不自由なく過ごしていますが、私が死んだ後は、預貯金がどうなるのか心配です。
  亡夫も私も両親はすでに他界し、私には兄弟はおらず、夫の兄弟はまだ健在です。


  子供がいても離れて住んでいれば、孤独死が増えている現在、恵まれた環境で老後を過ごされているようです。

  まず、本当に相続人がいないのかどうか除籍謄本等で確かめる必要がありますし、現在の財産を整理して確認することが重要です。
  両親も他界、子どももいない、自分の兄弟もいない、亡き夫の隠し子もいない、となれば、亡き夫の兄弟は相続に関しては何の関係もありませんから、その遺産は最終的には国庫に帰属することになります。

 (自分の兄弟が死亡していても、兄弟の子供(おい・めい)がいれば、推定相続人となり
  ます)

  もう少し順を追って言えば、相続人が明らかでないときは、相続財産は相続財産法人とすることになっています。(民法951条)権利者のいない財産はありえないので、相続人が不明のときは、その法人が権利の主体であるとします。
  この場合、家庭裁判所の選任によって管財人がおかれ相続人を探します。

 この捜索によっても相続人がいないときは、その遺産は国庫に帰属することになります。
                                                                                                      (民法959条)

  ただし、ご本人の療養看護につとめた人がいるとか特別の事情がある場合は、この特別縁故者の請求があれば家庭裁判所は清算後の遺産を与えることができます。

(*現実には、法律通りにいかず、宙に浮いた財産のケースもあります)

  ここまでは、財産について法律のとおり進んでいきますが、ご本人の生前の希望は一切考慮されないことになります。
  ご本人に何らかの希望があれば、遺言書を作成しておくことが絶対に必要です。

  例えば、亡夫と自分の死後の供養をお寺にお願いする、特別世話になったAさんに財産の一部を遺贈する、残りの財産は公益法人や病院に寄付するなど、人生の最後に自分の気持ちが実現できる方法を検討するのがいいと思います。



  遺言書記載の財産とは別の財産が見つかったらどうなりますか?

  父が亡くなり、自筆証書遺言が存在したので、検認手続きを経て遺言通り母と兄弟2人の3人で相続しました。
  ところが、2年後に誰も把握していない父の通帳が見つかりました。2年前と異なり、その預金財産について兄弟でもめています。どうしたらいいでしょうか。



  相続時の遺産分割は、全員が遺言の内容を確認し納得した上で遺産分割に同意したのですから、それをくつがえすことはできません。
  新たに見つかった預金のみについて、分割協議をすることになります。

  遺言によって指定されていない遺産については、改めて遺産分割協議が必要になるので、本来なら、遺言者が「遺言者は、前○条の財産を除く遺言者の有する一切の財産を、いずれも長男○○○○に相続させる」と明記しておけば、もめることがなかったはずです。

  3人の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるしかありません。
質問のケースは、遺言や遺産分割協議書に書かれていない行き先未定の財産がある場合ですから遺産分割調停手続きの利用が可能です。

  ちなみに、遺言や遺産分割協議書で遺産全部の行く先が決まっている場合は、この分割調停手続きを行うことはできません。
  また、遺言や遺産分割協議が無効だという主張があり、相続人間で争いになった場合には、無効かどうかを決める民事裁判を先に行って、遺産分割手続きができるのかどうかを決定させる必要があります。


  遺留分を侵害している遺言はどうなりますか?

  先日父が亡くなり、自筆の遺言が見つかりました。相続人は、母と姉と長男の私の3人です。検認手続きを経て確認したところ、遺言の内容は、母(夫の妻)に土地・建物・預貯金全てを相続させる、というものでした。
  私たち子供2人は現在独立して、特別に困っているわけではありませんが、母が弱ってくれば面倒も見るつもりだったので、一切財産をもらえないのは納得できません。
  遺留分ということを聞いたことがあるのですが、どうすればいいでしょう。
相続財産は、土地・建物で4,000万、預貯金は2,000万です。


  まず、結論から言うと、父が作成した遺言の内容が遺留分の規定に反する場合でも、遺言が無効にはなりませんが、遺留分権利者である子供から減殺請求があれば、これに応じなければなりません。従って、最低限の財産はもらえることになります。

  相続が開始すれば、遺言がなければ民法の規定にある法定相続分に従い配分されます。遺言があれば、遺言者の指定した相続分が優先し、法定相続分の規定は適用されません。
  原則として、遺言者は自分の希望を反映した配分を書くことができますが、どんな配分でも法律上問題がない、ということではなく、民法の遺留分に反することはできません。
  
  遺留分とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。(民法1028条)
  具体的な、法定相続分と遺留分の割合は、下のようになります。

    ① 法定相続分
              配偶者と子             配偶者  2分の1、子           2分の1
              配偶者と父母          配偶者  3分の2、父母        3分の1
              配偶者と兄弟姉妹    配偶者  4分の3、兄弟姉妹  4分の1

    ② 遺留分割合 (全体財産に対して)
              配偶者のみ             2分の1
              子のみ                   2分の1
              配偶者と子             2分の1
              父母のみ                3分の1
              兄弟姉妹                なし        (*兄弟姉妹には、遺留分がないことに注意!)

  質問のケースでは、
    ① 遺言がない場合、法定相続分は、母3,000万、子(姉)1,500万、子(弟)1,500万と            なります。
    ② 遺留分は、配偶者と子の場合、全体財産の2分の1ですから、母1,500万(4分の1)、
          子(姉)750万(8分の1)、子(弟)750万(8分の1)となります。

         結局、子供2人は、原則として1年以内に裁判所に対して減殺請求をすれば、750万づつ          は配分してもらえます。
         (残りの4,500万は、母に分配されます)

   亡くなった父は、何かの理由で奥さんに一切の財産を配分したかったのでしょうが、遺言でいくらそういう事情を書いたとしても、また、遺言で遺留分減殺請求をしないよう書いたとしても、法的拘束力はなく、子供2人が納得しなければ、希望は実現されないし、余計な労力を使うことになります。

  遺言を作成するときは、相続人の遺留分を十分に調べて、出来れば遺留分に相当する財産だけは相続させる、という内容にすべきです。

  (なお、子供2人が遺言に納得しているのであれば、減殺請求もしないわけで、遺言通り母が
     全財産を相続することになります)  

 

            

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