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広島市中区大手町3丁目11-19

公正証書遺言作成の流れ

公正証書遺言作成の流れ

  公正証書遺言作成の流れについて、説明します。

  長所・短所のところで述べたように、公正証書遺言は、ほかの形式と比較して紛争を防ぐには、一番優れています。
  また、手順でもわかるように、特別面倒でもありません。

公正証書作成の手順

  公正証書遺言は、公証人に公証役場で作
      成していただきますので、下記のような
      手順で行います。

(1)  面談

        ・遺言者ご本人とご家族の状況の確認
        ・相続人以外の受遺者・お寺などへの寄付の確認

        ・自宅・農地ほか預貯金など資産の確認と借金など債務の確認
       
 ・遺言者ご本人の希望の確認


最初の面談では、後の調査の準備のため、遺言作成の動機や親族関係・資産状況をお聞きします。

家族の同居・別居・海外赴任・結婚している子どもの状況・介護者の状況のほか、ご心配であれば、遺言者ご本人の遺言能力・認知症について差支えない範囲でお伺いします。

さらに必要であれば、財産以外の、祭祀承継者・葬儀関係・相続時の費用負担者についても確認します。


                                        

(2)  調査・資料収集

        ・遺言作成に必要な調査を行い、資料を収集します。
        ・不動産の権利関係の確認

① 推定相続人・受遺者(家族以外で財産をあげる者)の調査・特定を行い、     法定相続分・遺留分を算定します。

② 遺言者ご本人の出生から現在までの除籍謄本・現在戸籍等を取得し、推定     相続人に漏れがないか調査します。

③ 相続ではないので、遺留分のない推定相続人のうち財産配分のない方は、     戸籍書類を取得する必要はありません。

       (ただし、遺言執行の際には、推定相続人に遺言を通知しますので、関係         者全員の相続関係や住所を把握するうえで、戸籍を取得することが多くな       ります)


④ 「親族関係図を作成します。

⑤ 不動産について、権利証・名寄帳・固定資産評価証明書・不動産登記簿謄     本(登記事項証明書)等の客観的な証明資料を収集し、不動産の具体的内容     を把握します。

⑥ 預貯金・株式は、遺言者から所有する金融機関・証券会社等の口座・種         類・残高などをお聞きしあるいは金融機関で残高証明書を取得し、現状の資     産を把握します。

⑦ その他、不動産・預貯金以外で、遺言に関係する車両・船舶・貴金属・債     権・債務などの聞き取りを行います。

⑧ 遺言者の「財産目録」を作成します。

 

    注)財産目録は、相続手続きの際とは異なり、1円単位の正確なものである     必要はありません。公証人手数料の算定のために必要となります。

    そもそも、遺言者は遺言作成後でも、不動産を処分したり、預貯金を費消す     ることは自由ですから、財産が変動するのは当然のことです。

 

                                                 


(3)  原案作成

        ・お客様とのご相談の上、具体的に遺言書の原案を作成します。

    相続後のトラブル防止のため、遺留分権者・遺言執行者・付言事項(親族へ     のメッセージ)等の提案・アドバイスを行います。

① 遺言で財産を譲る人が遺言者より先に死亡した場合を想定して、予備的な     配分について定めておきます。

   ex.「遺言者の死亡と同時もしくは遺言者の死亡以前に相続人山田太郎が死亡          した場合は、本遺言書記載の財産すべてを山田次郎に相続させる」

② 実際に相続となった場合、相続人間で様々なトラブルが発生することが想     定されるので、遺言執行者は必ず指定しておくべきです。
    親族以外の、行政書士、司法書士、弁護士に頼んでおきます。

   ex.「遺言者は、この遺言の遺言執行者として、
広島市中区大手町三丁目11          番19号行政書士 勝部 馨を指定する」

③   遺言執行者を指定するのは、他の相続人の同意なしで遺言を実現させるも     のですから、遺言執行者の権限を明示しておかなければ意味がありません。

   ex.「遺言執行者は、いずれの相続人の同意を得ることなく、遺言者の借用中     の貸金庫の開披、遺言者の有する預貯金債権等の名義変更、払い戻し、解       約、不動産登記手続き等本遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有す     る」

 

    不動産・預貯金等の表示と配分の確認、文章の内容や文言の表現をお互いに     確認して原案を作成します。

    注)行政書士は、遺言作成時はもちろん、遺言者が亡くなった後の遺言執行     を念頭に置いています。
      遺留分侵害のトラブルや極端な財産配分のリスクなども事前に説明します      が、遺言の趣旨から最終的には遺言者本人の意向に沿った文案にします。

    ただし、登記手続きが不可能な場合は、はっきりと説得します。
    例えば、特定遺贈の受遺者に「不動産のすべてを遺贈する」と希望しても、    その中に田畑が含まれていれば、農業従事者でない受遺者は相続人ではない    ので、農地委員会の許可がおりず、名義変更はできないことになります。
    この場合は、相続人と同様の立場になる包括遺贈で文案を修正します。


                                           

(4)  公証役場との調整

        ・公証役場に原案を送付し、内容の調整
        ・作成日程・出頭日・証人の調整

本人あるいは代行者が、遺言書原案・資料を公証役場に持参または送付し、公証人と打合せを行います。
    証人2名の選定・出頭日などを、公証役場と打ち合わせます。

 

① 行政書士が業務として行う場合は、以前から懇意にしている公証人の先生     を指名して、最初に面談・相談を行い、その後はメールで修正のやりとりを     行います。

② 最初の面談の際に持参するものは、

   遺言書原案・遺言書依頼経緯書
 親族関係図・財産目録(不動産と預貯金等)
 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本(受遺者だけの場合は不要)
 固定資産課税明細書、不動産登記簿(図面は不要)
 各金融機関の残高証明書・ゆうちょ銀行通帳のコピー
 法人登記簿謄本(法人に寄付する場合)
 受遺者の住民票(3ヶ月以内のもの)
 証人2名の免許証の表裏のコピー
 遺言者本人の印鑑証明書

 これらの資料一式(あるいはコピー)を公証人に提出すれば、面談自体はスムーズに進み30分程度で終了し、後は遺言作成当日、遺言者が実印を持参すればいいことになります。

 

 注)高齢者の方が遺言者の場合は、医師の診断書を提出する場合があります

  特に最近、認知症の高齢者が遺言を作成した際、遺言に不満のある親族
ら遺言無効の訴えを起こされるケースが増えています。

  私は、遺言者と精神内科に同行し、問診・CT検査・認知症テストなどを
  受診してもらい、料金は診断書作成料を含めて5,000円~1万円位です。




                                                    

(5)  原案の修正

        ・提出した原案をもとに公証人が公正証書案を作成し、遺言者あるいは
   行政書士が修正します。

  注)公証人の先生は手慣れたもので、不動産物件の多い文案でも、数時間
   後には事務所のメールに文案が届くこともあります。

   ただし、急いで作成された文案は、特に不動産の地番・面積、預貯金の
   口座番号が数か所間違いがある可能性があるので、数字のチェックは入
   念に行います。

   銀行の口座番号の表記ミスは、遺言執行の時に取り返しのつかない失態
   となります。




                                           
 

(6)  修正公正証書原案の提出

        ・公証役場に行き、修正された原案を公証人に提出します。
   (通常は、メールで文案修正のやりとりを行います)

                                                   

(7)  公正証書遺言作成

        ・必要な書類を点検したうえで、公証人が公正証書を作成します。

  証人2名の立会いのもと、遺言者が遺言内容を公証人に口授し公証人が筆
  記します。

  公証人が遺言書を、遺言者および証人に読み聞かせまたは閲覧させます。

                                            

(8)  署名・押印

        ・遺言者が署名、実印で押印します。
        ・証人2名が遺言内容を確認し、署名・押印します。
        ・公証人が、民法の方式に従って作ったものである旨を付記して、署
          名・押印します。


                                                    
 

(9)  原本保管

        ・原本を公証役場が保管し、正本と謄本が遺言者に交付され、遺言者が             保管します。


公正証書遺言の留意点



1.証人・立会人

  公正証書遺言の作成には証人2名の立会いが必要ですが、民法では、次のように証人または立会人になれない者を定めています。
                                        (民法974条)

 ① 未成年者
 ② 推定相続人と受遺者並びにこれらの配偶者・直系血族
 ③ 公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人

  証人は、意思能力があり、利害関係を有しない者でなければなりません。

  従って、推定相続人の妻や公証人の妻などがなれないことになっているの
  ですが、推定相続人に子や妻の第一順位の相続人がいる場合は、遺言者の
  兄弟は利害関係がないので、証人になることができます。

  通常は、弁護士・司法書士・行政書士など秘密を守れる者のほか、公証役
  場でも紹介してくれることがあります。

2.公証人

 公証人は、法律のプロですから、内容が法的に確実で無効になるおそれがな
 いように、遺言形式の不備等を指摘してくれます。
      遺言者本人の代理の者が公証役場に行っても、相談に応じてくれます。


 ただし、公証人には、法律行為等の有効性や本人確認や状況などについて調
 査
のための有効な権限や手段が認められているわけではないので、公正証書
 の
効力をめぐって紛争が生じるおそれがあることも知っておくべきです。

 また、遺言者の真意に沿った内容の遺言書が作成されるよう相談に乗ってく
 れますが、一般的に分配方法などの内容まで立ち入らないので、遺言の原案
 を作成する際は、予防法務の観点から時間をかけて専門家に相談する方がい
 いでしょう。

3.認知症

 15歳になれば誰でも遺言を作成できるのですが、問題になるのが、認知症の
 方や成年被後見人が作成する場合です。

 成年被後見人であれば、民法の定める手続きによらなければなりません。

 軽度の認知症であれば遺言能力はありますが、公証役場でうんうんとうなづ
 くだけのような重症の認知症の方であれば、関係する親族から遺言の無効を
 申立てられる可能性が高くなります。

 遺言作成時における遺言者の認知症が重症で、判断能力が相当程度低下して
 いる場合は、複雑な内容の遺言書を作成するのは
避けた方が無難です。


4.手数料

 遺言作成における手数料は、公証役場の項目で一覧表で示しています。
 (相続人の数・資産総額によりますが、5~10万円位が多いです)

 一般に、手数料がかかるということが、公正証書遺言の短所と言われていま
 す。しかし、信頼できる公証人が遺言作成の手助けをしてくれる安心感を数
 万円で得られるのは、むしろ長所といえます。

 自筆の遺言によって、家庭不和になったり、形式不備の遺言によって家庭裁
 判所へ駆け込む手間と労力を考えれば、この親切で便利な公証制度をもっと
 積極的に活用すべきです。

5.その他、遺留分に配慮することや、遺言執行者を誰にするか、なども重要
  な検討項目になります。

 

公正証書遺言の作成に必要な書類

公証役場で公正証書遺言を作成する場合には、下記の書類を準備します。

①  遺言者本人の住民票・印鑑証明書(3ヶ
      月以内)と実印

②  遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本

③  相続人以外の人に遺贈する場合は、その受遺者の方の住所・氏名・生年月
      日が特定できる住民票
      (※ 他人の住民票を取得するのは困難になっていますので、注意が必要         です)

④ お寺などに寄付をする場合は、法人の登記簿謄本

⑤  相続財産が不動産の場合は、土地・建物の登記簿謄本および固定資産評価
      証明書
      (※ 登記済権利証と間違う人が多いので、注意が必要です) 

⑥  相続財産が預貯金・証券の場合は、金融機関名・口座番号・預金通帳・証
      券等

⑦  お墓の管理等を指定する場合は、墓地永代使用権の契約書

 

⑧ 受遺者がいる場合は、住民票(職業も、遺言書に表記されます)
 

⑨  証人2名の氏名・住所・生年月日・職業の分かる書類と認印
   (住民票あるいは運転免許証)

⑩  遺言執行者を指定する場合は、執行者の氏名・住所・生年月日・職業の
  分かる書類
      (※ 証人・遺言執行者については、職業がわかる確認書類が要求されて         いるので、注意が必要です)


 

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