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ここでは、家族に関するよくある質問で、基本的なことを説明します。
1 相続で、除籍謄本などは、どういうものをそろえるのですか?
私の父が先日死去し、銀行で父の預金を引き出そうとしたら、口座が凍結されていました。窓口の方は、「亡くなったお父様の出生から死亡までがわかる除籍謄本等と相続人全員の同意のある書類一式を提出して下さい」と言われました。
除籍謄本など請求したこともないし、本籍を変えていたり、再婚しているので、一体どういう戸籍を請求して提出すればいいかわかりません。
戸籍の種類は、現在戸籍、改製原戸籍、除籍謄本といろいろあり、役所への請求の仕方も面倒ですが、詳しい説明はさておき、とにかく出生から死亡までの戸籍を急いで取り寄せなければなりません。
亡父が転籍(本籍を他の場所に移す)したことと、再婚していることがポイントです。すべての謄本をそろえて相続人を確認し確定されなければ、銀行は預金の引き出しには応じてくれません。
戸籍を見る基本的知識として、次のことを理解しておきます。
ⅰ 戦後の法律で、戸籍は、原則として一組の夫婦とその夫婦と氏を同じくする子供が単位 となっています。(戦前の家制度からの改正)
ⅱ 除籍謄本とは、婚姻、養子縁組、死亡などにより、在籍者が誰もいなくなった戸籍のこ とで、戸籍簿に保管されていたものが、除籍簿に移って保管されているものです。
ⅲ 電子化された戸籍は、平成7年から全国で順次実施されており、縦書きから横書きに変 更され、戸籍謄本は「戸籍の全部事項証明書」、戸籍抄本は「戸籍の個人事項証明書」 と名称も変更されました。
ⅳ 転籍とか改製された戸籍には、その前に記載されていた人がすべて新戸籍に転記される わけではないということを知っておきます。
わかりやすくするために、亡父Aの出生から時系列で必要な謄本を追っていきます。
① 昭和20年 大阪で出生
② 昭和45年 先妻Bと結婚して両親の戸籍から除籍、数年後長男C誕生
③ 昭和50年 離婚して先妻Bが除籍
④ 昭和52年 本籍を大阪から広島に転籍
⑤ 昭和53年 後妻Dと再婚、その後長男E、長女F誕生
⑥ 平成10年 長男Eが結婚して両親の戸籍から除籍
⑦ 平成15年 戸籍の電子化で改製
⑧ 平成16年 長女Fが結婚して両親の戸籍から除籍
⑨ 平成25年 父A死去
現在、Aの両親は他界し、先妻と子供C,後妻と子供E,Fは健在である。
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(必要な戸籍)
❶ 除籍謄本(昭和20年の出生~昭和45年の結婚で除籍されるまでの戸籍)
*除籍謄本は、婚姻・養子縁組・死亡によって最終的に誰もいなくなった戸籍をいいま すが、この謄本で両親と前の本籍、出生が確認できる
❷ 転籍前の戸籍(昭和45年の結婚、50年の離婚、52年の広島への転籍までの戸籍)
*この戸籍で、先妻Bと長男Cの存在が確認できる
❸ 改製前原戸籍(昭和52年の転籍から平成15年の戸籍の電子化による改製までの戸籍)
*この戸籍で、後妻D、子供E,Fの存在が確認できる
*(転籍後のこの戸籍では、離婚により除籍された先妻Bと長男Cは記載されていない し、父Aの身分事項欄にも、先妻Bとの婚姻・離婚事項は移記されません)
❹ 現在戸籍(平成15年の電子改製から平成25年の死亡までの戸籍)(全部事項証明書)
*この戸籍で後妻D、長女Fの存在が確認できる
*(改製後のこの戸籍では、改製前に結婚して除籍された後妻の長男Eは、記載されま せん)
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この相続についての相続人は、後妻D、その子EとF、先妻の子Cですが、もし❹の現在戸 籍だけで判断してしまうと、後妻Dとその長女Fだけとなり、長男のEと先妻の長男Cがも れてしまいます。
また、実際には、相続人全員の住民票と相続関係図を添付して提出します。