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はじめての遺言書作成

はじめての遺言書作成

遺言書作成について基本的なことを説明させていただきます。参考になればと思います。
 

  最近、高齢者の財産管理に関する話題が特に増えてきました。実際に、皆さんの関心も高く、無料セミナー・無料相談会にも多くの参加者が出席しています。
  自分がだんだん年老いていく中で、結局は、家族が末永く円満に過ごしていくためには、どうしたらいいのだろうか、と真剣に考えているからだと思います。
  しかし、現実に行動しようと思っても、頭がこんがらがって面倒になります
それは、情報があまりに多く断片的だからです。

  財産管理、生前準備についても、遺言生前贈与相続税対策任意後見契約、最近では家族信託も話題になり、相談する相手も、弁護士・税理士・司法書士・行政書士・信託銀行など、検討する前から混乱してきます。

また、自分自身の状況を振り返り、
「自分は元気だから、まだまだ先の話しだ」
「うちは皆仲がいいから、もめないできちんとやってくれるだろう」
「専門家や銀行に相談するような財産もないし」
「何度聞いてもよく理解できないし、面倒くさそう」
「書店で本を買って読んだり、家庭裁判所で説明書類をもらったけれど、法
律用語がたくさん出てきて、頭が痛くなった」
と、自分を納得させるかもしれません。

  さらに、ご家族にとって最善の方法を選択するのを難しくさせるのが、状況は刻々と変化していくことです。
  それは、子供が親より先に死亡するかもしれませんし、高齢者が体の衰え→
介護→老人ホーム入居→死亡と順を追って経過するとは限らないからです。

  また、長男夫婦が自分の面倒を見てくれるから財産を多く与えようと思っていたのに、どうもそう期待できないと思うようになれば、数か月前と気持ちががらりと変化してきます。

  世代的に考えると、70代が一番検討するのに良い年代かもしれません。ご自分が、50代・60代のうちは、仕事が忙しく、80代を超えると予想以上に体力
気力が衰えて、「もうあとは、勝手にしてくれ」、となる可能性があります。

 

遺言とは

  遺言とは、亡くなった方の意思表示を形にしたものであり、一定の厳格な方式によるものです。

  自分の意思を法的に実現させるためには、単なる希望にとどまらず有効な方法です。

  遺言がない場合は、民法の定める相続人の相続分によることになります。
遺言は、法律で定められた事項のみ有効であり、被相続人の希望を述べた、いわゆる世上遺言は法律上の意味はなく、無効となります。


  遺言に記載できること

①  相続に関すること
          ・相続分や遺産分割の方法の指定
          ・遺言執行者の指定や指定の委託
          ・推定相続人の廃除や廃除の取り消し
          ・遺産分割の禁止

②  財産の処分に関すること
          ・遺贈や寄付行為、信託の設定に関すること

③  身分に関すること
          ・子の認知
          ・未成年者の後見人・後見監督人の指定

④  その他、付言事項
          ・自分の葬儀やお墓に関すること
          ・ペットの世話
          ・家族への感謝の気持ちや思い

 

遺言書作成の留意点

遺言書の種類を問わず、基本的な法律の決まりを理解して検討し、作成する必要があります。

民法の遺言に関する主な総論規定を見てみます。


①  遺言は、15歳に達すれば作成することができます。
                                                                      (民法961条)

         ⇒・未成年者も、遺言書作成時に15歳以上であれば、
親(法定代理人)
            の同意を得ることなく作成できます。


②  未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人も、原則として意思能力が       あれば単独で作成できます。                           (民法962条)

③  遺言者は、包括または特定の名義で、財産の全部または一部を処分するこ       とができます。
        ただし、遺留分に関する規定に違反することはできません。
                                                                      
(民法964条)


        ⇒・兄弟姉妹以外の子供・配偶者・親が相続人でいる場合は、一定割合
             の相続分を受ける権利(遺留分)を侵害して排除することはできませ              ん。                                                    (民法1028条)

④  遺言は、2人以上の者が同一の証書で作成することはできません。
                                                                      (民法975条)

        ⇒・いくら仲のいい夫婦が意見が一致していたとしても、夫婦連名の遺
            言書は無効となります。
        ⇒・独立した自筆証書遺言が同一の封筒に入れられていた場合は、有効
            となります。


⑤  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をす       る権利義務を有します。                                  (民法1012条)

⑥  遺言執行者がいる場合は、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることはできません。                     (民法1013条)


  遺言執行者は、相続人の代理人とみなされます。
                                                                       (民法1015条)

⑧  遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。                                   (民法1022条)

        ⇒・遺言の撤回は、遺言の方式に従う必要がありますが、前の遺言と同
            一の方式である必要はなく、例えば、自筆証書遺言を、公正証書遺言             で撤回することはできます。

⑨  前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
                                                                       (民法1023条1項)

        ⇒・矛盾する内容の遺言が2通出てきた場合は、後の日付の遺言が効力を             有します。
        ⇒・たとえ、第1の遺言が公正証書遺言で、第2の遺言が自筆証書遺言で
            あっても、抵触する部分は第2の自筆証書遺言が効力を有します。

⑩  ⑨の1項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にも適用します。                                            (民法1023条2項)

        ⇒・例えば、子供に建物を遺贈する遺言をした後に、妻にその建物を贈
            与した場合は、建物の遺贈に関する部分については、遺言を撤回した             ものとみなされます。

⑪  遺言者が故意に遺言書を破棄したときあるいは故意に遺贈の目的物を破棄     したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなしま     す。                                                                (民法1024条)   

⑫  遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することはできません。
                                                                        (民法1026条)


⑬  その他、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、死亡危急などの特別の方式の遺言には、具体的にかなり詳細な形式が規定されています。

 

遺言書作成に関連する法律用語

  遺言を作成するにあたって、上記の民法の条文にも出てきた、遺留分や遺贈・遺言執行者などという基本的な法律用語を理解しておかなければなりません。

  遺留分 (いりゅうぶん)
 

1.遺留分とは、民法で規定されている一定の相続人(配偶者・子供・父母)
  が最低限相続できる財産のことをいいます。
        (代襲相続人(ex.孫)、祖父母も含みます)


      兄弟姉妹には、遺留分は保証されていませんから注意が必要です。

2.遺留分の割合は、配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の
  1、父母(直系尊属)だけの場合は、3分の1になります。
                              

    ・ということは、例えば、配偶者と子供が相続人のときは、亡くなった方
    は、相続財産の残り2分の1は、(遺留分減殺請求されたとしても)誰から       も邪魔されず自由に財産を処分できることになります。

3.極端に言えば、遺言書を作成すれば、法定相続人以外の者(世話になったX   さん)
に全財産を遺贈することもできます。
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    ・つまり、相続財産の最低限の部分である遺留分を侵害している遺言や遺贈     であっても、当然には無効にならず有効ですから、
法定相続人が文句を言わ     なければ、Xさんに全財産が移ることになります。

4.
遺留分が侵害された場合、法定相続人が黙っていたら保護されず、侵害を知   ったときから1年以内あるいは相続開始のときから10年以内に遺留分減殺請求   をして初めて保護されることになります。


5.通常であれば、法定相続人は納得しませんから、遺留分減殺請求をすること   になります。

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      ・具体的に、配偶者と子供2人が相続人で、亡くなった夫が遺産8,000万円
      全てをXさんにあげるという遺言を遺していた場合、
                              ⇓
      ・本来の相続分は、妻4,000万、子供A2,000万、子供B2,000万で、遺
      留分は2分の1ですから、この3人は、それぞれ2,000万、1,000万、1,000       万をXさんに減殺請求することができ、Xさんは4,000万を返却し、残り         の4,000万を受け取ることになります。

6.実際の場面では、遺留分減殺請求をするケースになった場合、遺言者が法定   相続人の間でも不公平な分配をした結果、返還を請求された側と基礎となる
  財産の算定や返還額などをめぐって争いになり、訴訟になる可能性が高くな     ります。

    これでは、紛争の元を作るようなものですから、何のために遺言を作成した     のかわかりません。

    最初から相続人の遺留分を侵害しないように、あるいは侵害を少なくするよ     うある程度考慮してあげるような財産の分け方を明記し、皆が納得できるよ     うな遺言書を作成すべきでしょう。


  遺贈 (いぞう)

1.遺贈とは、遺言によって財産を無償で与える行為のことです。
遺言で財産を与える人を「遺贈者」、遺贈を受ける人を「受遺者」といいます

2.遺贈を受ける人は法定相続人である必要はなく、遺言を作成する人が「自分 の財産をあげたい」という気持ちがあれば、相続人のほか個人の他人でも法人でも受遺者に指定して、財産を譲ることができます。

    遺言を遺さず死去すれば、当然法定相続人しか相続できませんが、遺言で遺     贈の意思を表明しておけば、世話になった全くの第三者でも寄付をしたい団     体に対しても財産を与えることができ、希望を実現させるための有効な手段     となります。

    遺贈は、受遺者の同意や承諾がなくても遺贈者の死亡により当然に効力が発     生し、受遺者は財産を受け取る意思がなければ遺贈を放棄できます。
      従って、遺言者が遺言の確実な実現を望むなら、あらかじめ、受遺者とな     る人の意思を確認しておく方がいいでしょう。

3.遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類あります。

① 「包括遺贈」は、相続財産を特定せず、「遺産の3割」とか「遺産の2分の1」というようにして譲る方法です。

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    包括遺贈された方は、相続人と同一の権利義務を負うことになるので、遺言     者の借金等債務も、遺贈の割合に従って引き受けなければなりません。
      従って、これがいやな包括受遺者は、相続人と同様に、遺贈の放棄や限定     承認をすることができます。

② 「特定遺贈」は、「何番地の土地100坪」というように特定の財産を具体的に指定して譲る方法です。
                              ⇓
    特定遺贈は、遺言で指定がない限り、遺言者の債務などを引き継ぐことはあ     りません。

    また、受遺者が遺贈を受けるのか放棄するのかはっきり他の相続人に示さな     い場合は不安定な状態になるので、相続人から受遺者に対して、承認するか     放棄するかはっきりさせてくれと、催促することができます


4.似たような言葉で、「死因贈与」というのがあります。


    死因贈与は、財産をもらう者(受贈者)とあらかじめ契約を交わして成立
    するものです。
      生前に受贈者の承諾が必要であり、遺贈が受遺者の承諾を必要としない遺     言者の一方的な単独行為である点で区別されます。

     遺贈ですと遺言書を開けてみて初めて、他人が財産を譲られることがわか
    り、相続人が大騒ぎになるケースがあり得ますが、死因贈与は生前の契約
    ですから贈与する本人の意思を公正証書等で亡くなる前から周囲に明確に
    しておけるというメリットがあります。

    贈与といっても贈与された側は、贈与税ではなく、相続人より2割増しの相     続税を負担することになります。


  遺言執行者(いごんしっこうしゃ)

1.遺言執行者とは、遺言書の内容を実現させるために、法律で権限を与えられた人をいいます。

    未成年者や破産者を除き、誰でも遺言執行者になることができますから、
    例えば相続人や受遺者または信託銀行などの法人でも遺言執行者に指定する     ことができます。

2.遺言執行者は、2つの場合になることができます。

    ①  遺言書で指定する場合
      →・遺言で必ず指定または指定の委託を明記しなければならないというこ           とはありません。

    ②  家庭裁判所が選任する場合
      →・遺言で指定がない場合、指定された者が拒絶あるいは死亡などがあっ           た場合は、選任の申立てを行います。

3.遺言執行者の任務

    ①  子の認知や相続人の廃除の場合は、家庭裁判所への申し出、戸籍の届出         は、必ず遺言執行者が行わなければなりません。
    ②  財産目録を作成し、相続人や受遺者に交付する
    ③  財産目録に記載された遺産について、管理、預金の解約など処分その他         遺言の執行に必要な一切の行為を行う 
    ④  財産が侵害されている場合は、その訴えの手続き
    ⑤  不動産の名義変更の手続き

4.遺言執行者の報酬

 

    遺言執行者は、遺言に報酬の定めがある場合と、定めがない場合は家庭裁判     所に報酬を決定してもらうことができます。

5.遺言執行者を決めておいて、その人が相続人全員と調整し煩雑な手続きをや     っていけば、確かに遺言の実現はスムーズに進むと思います。

      一方、遺言者の相続財産が多額であるケースは、専門の士業の先生あるい
    は信託銀行に支払う報酬は、かなりの額になることを事前に把握しておいた     方がいいでしょう。


      特に、信託銀行の遺言執行に関するサービスは、金融機関である組織の安
    心感をうたっていますが、それほど複雑でないケースでも最低報酬が最低で     も100万円前後からかかります。
      通常、課税評価額の何%の報酬の他に、別途司法書士・税理士の報酬その     他の費用を合わせれば数百万になります。


 

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