広島で相続手続き、遺言書作成、協議離婚のご相談なら、中区大手町の勝部行政書士事務所までどうぞ
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相続財産の調査について説明いたします。
① 相続財産は、不動産や預貯金・現金・株券のようなプラスの財産と、借金や連帯保証債務のようなマイナスの財産があります。
もしマイナスの財産があれば、相続開始の時からあるいは相続開始を知って3ヶ月以内であれば、相続放棄や限定承認をすることもできます。
② いずれにしても、早いうちに調査を完了させなければ、後の手続きが進まないのですが、これが簡単ではありません。
自分以外の人の財産を日頃から全て把握していることはあまりないですし、夫婦間・親子間でも詳細なリストを共有することも少ないでしょう。
③ 注意しなければならないのは、行政書士や税理士に相続手続きのサポート
を依頼する場合でも、個々のご家庭の財産を正確に把握することは不可能だということです。
専門家は、不動産や預貯金の調査のサポートはできても、その他の細々とした相続財産全てについては、相続人の方の申告を待つしかありません。
④ 不動産であれば権利証・固定資産税の関係書類・名寄帳、預金・株式は金融機関あるいは証券会社からの郵便物や通帳があるはずです。故人が書類を1ヶ所にまとめている方であれば、かなり楽になります。
家の中や田舎の骨董品は、存在とか価値を調べるひまはないので、一般の家庭であればあきらめることが多いと思います。
電話加入権は、意外とリストに記入漏れをしがちなので、注意が必要です。
⑤ 最近、「デジタル遺産」という言葉が出てきました。
パソコンを使いこなす年配の方が死亡する時期になったのです。特に、家族に知らせずFX取引や株・投資信託などをやっている場合に、発見が遅れて大損になる、というケースです。通常、パスワードを使用しているので、家電業者も手が出せず、家族もお手上げです。
このような財産関係の他、自分の趣味のデータを保存してもらいたいのか、処分してもいいかなど、ご家族が困らないように、元気なうちに考えた方がいいでしょう。
故人が持たれていた、不動産・銀行預金・郵便貯金・株券・国債・ゴルフ会員権・電話加入権・現金など、資産価値のあるものを詳細に調べ、リストアップして財産目録を作成します。
そして、故人の死亡時の評価額を調べることになります。
不動産だけでも、現在住んでいる土地・建物あるいはマンション、また、故人の実家の土地・建物・農地・畑・山林・雑種地の評価額を本格的に調べるのは、素人では困難ですので、不動産鑑定士や税理士に依頼する方が得策です。
相続財産には、課税対象の財産、非課税となる財産、マイナスとなる財産があるので、これを分けて把握する必要があります。 相続財産の一覧表 (事業用資産は除く)
財産の種類 | 具体的な財産 |
土地 | 宅地・駐車場・農地・山林・原野・雑種地等 |
建物 | 家屋・納屋・倉庫・蔵・賃貸マンション等 |
現金 | 家庭にある現金 |
預貯金 | 普通預金・郵便貯金・定期預金・当座預金等 |
有価証券 | 株式・社債・国債・公債・証券投資信託 無記名債権 |
債権 | 他人への貸付金・不動産の賃料債権等 |
車両・船舶 | 故人名義の乗用車・ボート等 |
主な動産 | 貴金属・宝石、高価な骨董品・家具・備品 |
その他 | ゴルフ会員権 |
電話加入権 | |
みなし相続財産 | 生命保険金 |
退職手当金 | |
定期金に関する権利 |
非課税財産の一覧表
種類 | 具体的な内容 |
祭祀財産 | 墓地・永代使用権・墓石・仏壇等 |
退職金 | 一定の場合 |
生命保険金 | 一定の場合 |
弔慰金 | 各団体・勤務先からの弔慰金 |
損害賠償金 | 交通事故・労災事故等の賠償金 |
寄付 | 公共団体等に寄付した財産 |
マイナスの相続財産
種類 | 具体的内容 |
借金 | 個人からの借入 |
カードローン | 口座からの一定の引き落とし |
住宅ローン | 住宅購入時の団体信用生命保険 (* 通常、残債務は消滅) |
分割払い | 口座からの一定の引き落とし |
第三者の保証人 | 保証人契約等 |
葬儀費用 | 葬儀・通夜・お布施にかかった費用 |
1. 土地・建物などの不動産
① 不動産は、自宅にある権利証・登記簿謄
本で、その不動産の所有者と、共有のときはその持分割合、いつどのような経緯で所有したのかがわかります。
また、自宅には必ず役所からの納税通知書があるはずですから、それをも
れなく集めます。
② 市区町村役場で名寄帳で確認し、法務局でも登記簿謄本(登記事項証書)を請求できます。
なお、名寄帳の調査の際には、故人との関係を示す戸籍謄本等と身分証明書を持参する必要があります。
③ 不動産の評価額は、所在地の市区町村で、固定資産評価証明書を請求しま
す。
そこには、税務上の不動産の評価額が記載されています。
合わせて、路線価格も国土交通省のホームページ等で調べることができま
す。
基礎知識として、『不動産の評価基準』を知っていた方が便利です。
固定資産税評価額 | 市区町村が固定資産税を決めるために利用します 各土地・各建物ごとに金額が設定されています |
路線価格 | 国税庁が相続税額・贈与税額を決めるために利用します |
公示価格 | 国土交通省が実際の不動産取引価格を調査して決定します 地域ごとに代表的な地点を決めて、その価格を決定します |
実勢価格 | 実際に不動産業界で取引される価格です 買い手がいて初めて価格が決まるもので、実際に不動産を売却してその代金を分割対象とする、換価分割に向いています |
上から下への順に、評価額は高くなり、固定資産税評価額が最も低く、当然
実勢価格が最も高くなります。
遺産分割における相続財産の不動産評価においては、土地は路線価で評価
し、建物は固定資産税評価額で評価します。
2. 預貯金
① どの銀行に口座があるかわからない場合は、故人が預けていそうな金融機
関を探す必要があります。
通常は、家の中に通帳あるいは過去数年の通知があれば推測できます。
② 家庭内の書類で把握できない場合は、取引の可能性のある地元の金融機関
・大手銀行の支店・農協等に問い合わせるしかありません。
地方都市であれば、大手銀行の支店もない地域も多いので、地元銀行・信用金庫・農協・郵便局に絞られ、全てに問い合わせることもそれほど困難ではありません。
③ 通常、金融機関の1つの支店に行けば、本店・他の支店の全ての取引情報が即座に判明します。
④ 預貯金の金額が確定できない場合は、金融機関に残高証明書を発行してもらいます。
⑤ 預貯金の調査や名義変更の際は、各金融機関によって相続関係届出書・除
籍謄本・各相続人の署名・印鑑証明・住民票など、提出書類が異なるので詳しく聞いて書類の漏れがないようにする必要があります。
⑥ 預貯金とは少し違いますが、信託銀行等の貸金庫の開錠では、提出書類を
代表者が提出するだけでは足らず、相続人全員が各地からその貸金庫の前に出向いて立ち会うという経験をして驚いたことがあります。
結婚して全国に住んでいる家族が貸金庫のためだけに、わざわざ平日に遠方に行くという労力がかかることもあります。
3. 有価証券
① 証券会社からの通知文書や株券、株主総会招集通知・配当通知等で確認し
一定の相続書類をそろえて、各証券会社で株式銘柄・株式数・各投資信託の残高証明書を発行してもらいます。
② 通常、証券会社各支店では、お客様番号と故人の担当社員名が通知文書に
記載されているので、担当者にお願いする方がスムーズに手続きが完了します。
(大手証券会社の社員は短期間で転勤しますが、支店に現在の担当者を問
い合わせることができます)
4. 車両
① 車両を購入したディーラーに問い合わせると、名義や名義変更等の手続き
を教えてくれます。
5. 骨董品
① 掛け軸・美術品・壺など、故人が大事そうに保管していた骨董品が仮に見
つかった家庭では、相続の機会に価値を調査するのも1つの方法です。
② 広告で知らない業者や骨董品屋に頼むのは危険です。
大手のデパートでは、美術品・骨董品鑑定の専門家が配置されているので信用のある鑑定をしてくれます。
③ 東京のデパートでも、ある程度まとまった数であれば、広島・島根のよう
な遠方でも、無料で出張・鑑定・買い入れをしてくれるところもあります。
6. 現金・家財一式
① 厳密にいえば、故人が死亡した時点でいくら現金があるかですが、相続税を申告する場合でも、一般の家庭では概算で申告しても税務署が疑うことはまずありません。
② 現金を調べることも困難なこともありますから、実際には、税理士の判断
に任せます。
③ 家財一式についても、建物の固定資産額の1割といわれていますが、概算
で算定するのが通常でしょう。
7. その他住宅ローン(マイナスの財産)
① 金融機関からの借入で住宅ローンを組んで住宅を建築あるいは購入してい
れば、通常は「団体信用生命保険」がローン実行の条件になっているので、借主本人が死去すれば、保険会社が残りのローンを支払います。
② 相続人はローンを支払う必要がなく、住宅に設定されていた抵当権は消滅
します。
1.相続手続きとは直接には関係しません
が、避けて通れないのが遺品の整理です。
特に最近は、テレビの特集でも、身寄りのない方の遺品処分業者の存在が盛んに見られようになりました。
2.相続手続き後の遺品整理をおろそかにできないのは、あわただしい時には
発見できなかった、重要な書類や品物が発見される可能性があるということです。
3.よくあるのが、古い借用書やメモ程度の譲渡の取り決めです。メモ程度でも相手方も持っている場合、時効にかかっていなければ裁判で証拠となる可能性があります。
4.土地や家屋などの関係書類は、将来の登記手続きに添付書類で必要な場合がありますから、不用意に処分してはいけません。
必要な書類が紛失していれば、登記手続きの際、司法書士に依頼する時に余計な手間と金額がかかります。
5.調査時にもれた通帳が見つかった場合は、残高が少なくても時効にかかる前に金融機関に問い合わせた方がいいでしょう。
6.前に述べた骨董品等も、何年か後あるいは10年後ぐらいに発見されるのが通常でしょう。
仮に相続税を申告された家庭でも、それほどの額でなければ、わざわざ税務署に申告する必要はないと思います。1.相続財産とはいえない故人の遺品の処分も難問です。
年配の配偶者が元気であれば、若い世代が処分を勧めても、記念の品もがらくたも処分に反対するのが普通です。
年老いた配偶者1人が住む家屋では、物を整理する体力がなく、ほっておけば近い将来ごみ屋敷になることは確実です。
2.将来、再び訪れる相続時に、肝心の重要書類が見つからず、がらくたの中を探し回るという事態を避けるためには、不用品・記念品の処分は早めにやった方が賢明です。
3.また.お年寄りがけがをせず、住みやすい住宅を維持しようとすれば、が
らくたや不用品の整理は必要です。
介護が必要になったときには、必要な介護備品を入れる必要もでてきます。
捨てるのではなく、不用品マーケットなどで他の人に使ってもらうという言い方で、物を大事にしている姿勢を見せれば、年配の方も納得するかもしれません。
4.まとまった量の書籍・雑誌などは、図書館に寄付をする方法もあります。
私の以前の経験では、自宅が法律事務所だったので、判例集や法律書がダンボール箱100個ぐらいになり、それほど価値がなくても、島根県の図書館が2tトラックで広島市まで取りに来てくれました。
5.1人暮らしであろうと、同居世帯であろうと、自宅のリフォームや建て替え
将来の介護や相続を見すえて、家族全体で土地・家屋やマンションの活用、家財の処分の問題を話し合う機会が必要だと思います。